日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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性・年齢別にみた胃癌
とくに高齢者胃癌についての考察
曽和 融生加藤 保之西村 昌憲芳野 裕明久保 俊彰前川 仁梅山 馨
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キーワード: 胃癌, 高齢者胃癌, 細胞核DNA
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1989 年 50 巻 1 号 p. 34-44

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抄録
過去15年間に切除しえた原発性胃癌1,538例を検討し,高齢者(70歳以上)胃癌269例の特徴と若干の考察を加えた.最近5年間に70歳以上胃癌の増加がみられた.占居部位は全般的にM占居例が多いが,70歳以上では39歳以下例に比べ,A領域に占居し,2型胃癌が男女とも有意に多かった(p<0.005).男性70歳以上の分化癌は若・中年層に比べ,また女性では未分化型が有意に多かった(p<0.005).また病期進行癌III・IV例は男性では69歳以下の症例に比べ多く,n陽性例が有意に多かった(p<0.005).70歳以上では男女ともH・P因子陽性例が若年齢層を除く,各年齢層に比べ多かつた(p<0.05~0.005).またv・ly因子陽性例は特に80歳以上例に有意に多かった.癌細胞核DNA ploidy pattemの検討では70歳以上でnon-diploid patternを示すものが,各年齢層に比べ有意に多かった(p<0.05~0.025).以上の結果から,高齢者胃癌は進行癌が多く,局所での浸潤傾向の強い性格を有し,これらの成績は細胞核DNAの検討から裏付けられた.
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© 日本臨床外科学会
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