日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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S状結腸捻転症20例の臨床的検討
術中腸洗浄を中心に
柏木 宏小西 文雄植木 広元宇賀神 浩人金沢 暁太郎山城 守也武藤 徹一郎森岡 恭彦
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1989 年 50 巻 1 号 p. 45-49

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抄録
著者らが経験したS状結腸捻転症20例を対象として治療法を中心に臨床経過を検討した.また最近の症例に施行している術中腸洗浄について述べた.非観血的整復,開腹整復した症例は再捻転率が高く,6例のうち4例で後日,再開腹S状結腸切除吻合術が必要であった.一期的S状結腸切除吻合術は13例に施行され,縫合不全は2例,腹腔内膿瘍は1例,死亡は1例であった.術中腸洗浄を施行した4例には合併症を認めなかった.術後死亡例は来院時ショック状態であった症例に限られ,手術術式との関連は少なかった.本症は高齢者に多発する疾患であるが,従来言われていたほどには術後経過は不良ではなく,また捻転解除だけでは再捻転の危険が高いので,一期的S状結腸切除吻合術が治療の基本と考えられた.
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