抄録
Percutaneous transluminal angioplasty (PTA)は,動脈硬化性血管の拡張法として患者への侵襲が少なく安全でかつ簡単な手技として普及している.われわれは間歇性跛行を主訴とする下肢閉塞性動脈硬化症36例について,腸骨動脈および大腿動脈の狭窄病変に対してPTAを施行した.PTA施行病変61ヵ所中初回成功率は87%(32例,53ヵ所)であった.成功例全例に症状の改善を認め,26例は1回のPTAで良好に経過し,3例に再PTA,3例に手術を施行した.初回PTAのみの26例は大半が単発例で,残り6例は多発の硬化性病変を伴っていた.腸骨動脈狭窄例の累積開存率は1年,2年,3年目でそれぞれ88%, 73%, 66%であった.合併症を5例(14%)認め,2例に外科的処置を要すのみであった.下肢動脈の狭窄病変に対するPTAは,病変部位が短く単発生のものでは,安全で成功率も非常に高く,症状の改善も著明で長期開存が期待できる治療法であると考えられる.