日本臨床外科医学会雑誌
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術後再発および死亡例からみた胸腺腫の治療
森本 雅巳羽生田 正行
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1989 年 50 巻 10 号 p. 2112-2115

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抄録

胸腺腫手術例76例中,術後再発で手術した4例および術後原疾患による死亡10例から病期別(I期21例,II期31例,III期19例,IVa期5例)に胸腺腫治療を検討した.重症筋無力症(MG)の合併は41例,放射線治療(放治)は26例が受けた.術式は胸腺腫摘出9例(I期4例,II期5例),全胸腺摘出46例(I期17例,II期26例,III期1例,IV期2例),全胸腺摘出+合併切除15例(III期14例,IVa期1例),試験開胸6例(III期4例,IV期2例)であった.死因は腫瘍4例,MG 4例,術後合併症2例である.I期では再発,死亡はない.II期では再発4例と死亡1例で,これらは胸腺腫摘出,非放治例に多くみられた.III期は死亡7例で,MG例に多くみられた.IVa期は死亡2例でIII期と同様な成績であった.すなわち,I期は胸腺腫摘出あるいは非放治でもよく,II期以上の胸腺腫では正常胸腺を含めた腫瘍の完全摘出および放治を行うことであり,適切なMG治療が重要である.

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