抄録
大腸に発生する非上皮性腫瘍のうちでさらに稀とされている大腸リンパ管腫を経験したので症例の概要を報告するとともに本邦報告例52例53病変を検討し考察を加えた.
症例は69歳男性で腹痛を主訴に来院.注腸造影検査にてS状結腸に半球状隆起性病変症例は69歳男性で腹痛を主訴に来院.注腸造影検査にてS状結腸に半球状隆起性病変と診断し手術を行った.切除標本では病変の大きさは5×4cm.内部に透明な液体を含んでいた.組織学的には単純性のリンパ管腫(cavernous cystic type)と診断された.
本邦報告例では年齢分布は20~78歳(平均55.6),男35例女17例で男性に多い.発生部位は横行結腸20例,上行結腸15例,その他の順であった.術前診断は粘膜下腫瘍が最も多いが,ポリペクトミーにより確定診断も可能である.治療法は切除が多いが適応がある場合は内視鏡的ポリペクトミーが有用である.