日本臨床外科医学会雑誌
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胃脂肪腫の1例
能登 啓光佐藤 和広楊 萬和近藤 征文秦 温信西田 修柿田 章小笠原 徹也小笠原 実柴田 香織生田 茂夫
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キーワード: 胃脂肪腫, 胃切除術
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1989 年 50 巻 11 号 p. 2393-2397

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抄録

比較的まれな胃脂肪腫の1例を経験し,本邦報告例の文献的考察とともに報告した.
症例は52歳女性.主訴は心窩部痛.血液生化学検査は異常がなかった.胃造影検査,胃内視鏡で前庭部前壁に粘膜下腫瘍を発見した.CTでは均一な低濃度領域としてとらえられた.昭和62年2月23日,胃脂肪腫と診断し手術を施行し,病理組織学的には胃粘膜下より発生した脂肪腫であった.
1954年より本邦では115例の胃脂肪腫が報告されている.CTを施行した2例はともに低濃度の腫術前確定診断を得るうえで最も瘍をとらえていた.粘膜焼灼後の切開生検は術前確定診断を得るうえで最も重要と思われた.合併疾患は潰瘍12例,癌11例,ポリープ5例,その他4例であった.
術前に胃脂肪腫の確定診断がつけば経過観察をするべきであろうが,出血や狭窄症状をきたすものでは胃切除を考慮すべきであろう.

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