日本臨床外科医学会雑誌
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乳腺転移を認めた胃癌の1例
住吉 慶明朔 元則山内 健岩男 裕二郎内藤 英明
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1989 年 50 巻 11 号 p. 2403-2407

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抄録

症例は41歳の女性で悪心・嘔吐及び左乳腺腫瘤を主訴として来院した.消化管系及び乳腺の精査の結果,胃癌と左乳癌の重複癌症例と診断された.胃癌の進行度が激しかったため非治癒的な胃全摘出術を施行し,左乳癌に対しては,腫瘤摘出術のみを施行した.手術後の組織学的検索により左乳腺腫瘤は,胃癌よりの転移性腫瘍であると診断された.
乳腺の転移性腫瘍はまれであり術前にそれを診断することは非常に困難であるが,必要以上の手術侵襲を避けるためには,他の臓器に現在癌が認められている場合及びその既往のある場合に転移性乳房腫瘤の存在を念頭において診断を下すことが必要であろうと考えられる.

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