日本臨床外科医学会雑誌
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鈍的腹部外傷後の遅発性小腸狭窄の1例
安冨 元彦佐藤 榮作米田 忠正栗本 尚武林活 次
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1989 年 50 巻 11 号 p. 2413-2416

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抄録

鈍的腹部外傷後の遅発性小腸狭窄は希な疾患とされている.今回,交通事故との因果関係が示唆された1例を経験したので自験例1例を含む本邦報告15例を集計し報告した.
症例は32歳男性,交通事故に遭い右下腹部を打撲,受傷後3日目に右下腹部痛出現し近医で保存的治療を受け軽快するも再び痔痛出現し当院入院.経口摂取により症状が増悪するため精査を行った.小腸造影にてBauhin弁より口側約30cmの部位より約20cmにわたり狭窄を認め,腹部CTで一部腸間膜の肥厚が見られた.Crohn病,虚血性小腸炎を疑い開腹した.回腸の狭窄と同部の腸間膜の瘢痕化を認め回腸の一部を切除した.病理組織学的には虚血性小腸炎の像を呈し腸間膜の損傷による循環障害が原因と思われた.

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