日本臨床外科医学会雑誌
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石灰乳胆汁の1例
中野 秀麿久我 貴之若松 隆史菅 一能高橋 睦夫
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キーワード: 石灰乳胆汁
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1989 年 50 巻 11 号 p. 2447-2452

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抄録
石灰乳胆汁は比較的まれな疾患である.その成因については,臨床的に興味をもたれているにもかかわらず,完全には解明されていない.本症を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は44歳の女性で,心窩部痛と腰背部痛を訴えて来院した.腹部単純X線で,胆嚢に一致してあたかも胆嚢造影を行ったかの如き濃い陰影があり,体位単純X線で,胆嚢に一致してあたかも胆嚢造影を行ったかの如き濃い陰影があり,体位部は均一な高濃度影を呈していた.胆嚢結石を伴った石灰乳胆汁と診断し,胆嚢摘出術を行った.石灰乳胆汁は7個の小豆大の結石を包埋し,胆嚢胆管は閉塞していた.胆汁内の炭酸カルシウムは53%を占め,慢性胆嚢炎の組織所見であった.本症は特徴的な腹部単純X線,CT所見を呈するため,本症の存在を念頭におくことにより診断は容易となる.外科治療は胆嚢摘出術を行えば治癒するため,早期に胆嚢摘出術を行うべきである.
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