埼玉医科大学雑誌
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原著
成人頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブの寛解維持および再発予防効果の検討
瀬戸 建 井上 勉友利 浩司岡田 浩一
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 47 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

【背景】頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対し,小児では寛解維持・再発抑制におけるリツキシマブ(RTX)の有効性が様々な臨床研究によって実証されている.一方,成人例での実績報告は少なく,また投与プロトコールについても確立された方法がない.そこで今回,成人の頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対する,統一投与プロトコールによるRTXの有用性と安全性を検討した.
【方法】16歳以上の頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対し,RTX 375 mg/m²(最大500mg)単回投与を6か月毎に行い,24か月で計5回投与するプロトコールを採用した.RTX導入前,投与期間中ならびに終了後の臨床経過を観察し,比較検討した.
【結果】症例は男性9例,女性8例の17例(平均年齢37 ± 15歳:微小変化群11例,巣状糸球体硬化症2例,腎生検未施行4例).観察期間は中央値43か月(11-54か月)であった.RTX投与期間中,ネフローゼ症候群が再発した症例は3例であった.副腎皮質ステロイド薬(プレドニゾロン)とシクロスポリンについては,両者ともRTX導入前とRTX投与期間中および後で投与量が有意に減量されていた.再発回数についても,RTX導入前と比べて,投与期間中および後で有意に減少していた.また,全例で有意な有害事象は認められなかった.
【結語】成人の頻回再発型およびステロイド依存性ネフローゼ症候群に対し,RTX単回投与を6か月毎に,24か月間で計5回投与するプロトコールは,副腎皮質ステロイド薬・免疫抑制薬の減量や再発抑制において有用性が認められた.

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2020 埼玉医科大学 医学会
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