日本臨床外科医学会雑誌
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総肝管癌を合併した先天性胆道拡張症術後6年生存の1例
齊藤 博三科 武石原 良高野 邦夫鈴木 伸男
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1989 年 50 巻 4 号 p. 772-778

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抄録
総肝管癌を合併した先天性胆道拡張症,術後長期生存中の1例を報告する.症例は31歳男性,主訴は右季肋部痛,術前血清生化学検査は正常.術中,嚢腫を切開し1.8×1.8cmの腫瘤を認め迅速標本で腺癌の診断をえ,膵頭十二指腸切除術を施行.肝門側断端近くにも0.5×0.7cmの小腫瘤あり2cmの断端追加切除.癌腫は中分化型腺癌でStage I(ss, n0).小腫瘤は異型上皮を伴う炎症性腫瘤であった.嚢腫は最大径10cm,長さ14cmで左肝内にも拡張ある戸谷頒IV-A型で,長さ1cm,径2mmの狭窄部をもって膵管に直角に合流し,2.5cmの共通管でVater乳頭に開口する合流異常があり,胆汁中アミラーゼ値は275, 280IU/Lと高値.術後6年経過し再発の兆候なく健在である.拡張した肝内胆管での第二の発癌は皆無とは云いきれず,今後ともfollowしたい.
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