1990 年 51 巻 2 号 p. 385-388
燕麦細胞癌は肺をはじめとして全身の各臓器より発生することが知られているが,胆道原発の燕麦細胞癌の報告は極めて少ない.
最近,われわれは胆嚢原発燕麦細胞癌の1例を経験したので報告する.
症例は63歳,男性で胆嚢癌と診断され,手術を行った.腫瘍は胆嚢頸部より胆管にかけて一塊となっており,後腹膜より大動脈周囲にかけてリンパ節転移が著明であった.原発巣の切除は困難であったため,胆嚢,及び総胆管にT-tubeを挿入し胆汁外瘻とした.組織学的には腫瘍細胞は一様に小型で胞体に乏しく,塊状のcell nestを形成し,増殖していた.術後CDDP, OK-432等の化学療法を行ったが,術後2ヵ月癌性悪液質にて死亡した.
治療については早い時期での外科手術につきるが,一部には化学療法に反応するものも見られる.しかし,その予後は未だ極めて不良である.