日本臨床外科医学会雑誌
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胃癌の血清学的診断法の研究
腫瘍マーカーE-082とCEAを中心に
内山 喜一郎
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キーワード: 胃癌, 腫瘍マーカー
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1990 年 51 巻 3 号 p. 454-460

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抄録

子のう菌の一種Cordyceps Ophioglossoidesが産生するgalactosaminoglycan (E-082)は,癌患者血清との間に凝集反応を生ずる.この反応を胃癌患者61例について応用し,腫瘍マーカーとしての有用性を検討した.術前胃癌患者のE-082反応の平均値は615.2単位,陽性率は62.3%であった.進行度別では,ステージI~IVで,それぞれ41.1%, 62.5%,61.1%, 77.8%と病期が進行するに伴って陽性率が増加した.組織型では,分化型と未分化型との間で陽性率に有意差はなかった.CEAを同時に測定した45例では,CEA陽性率は33.3%でE-082反応の方が有意に高い陽性率を示した.E-082とCEAとの間に相関性は認められなかった.以上から,E-082反応は短時間で容易に結果が得られ,しかも,陽性率が高く,さらに他の腫瘍マーカーとのCombination assayを行えば,胃癌の早期診断に有用であると思われた.

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