日本臨床外科医学会雑誌
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胃癌手術後のQuality of Life
アンケート調査より
小玉 雅志小山 裕文曽根 純之作左部 大成沢 富雄小山 研二
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キーワード: 胃切除術
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1990 年 51 巻 3 号 p. 466-471

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抄録

胃癌術後患者に対するアンケート調査から胃切除後のQuality of Lifeを検討した.術後愁訴および術後罹患疾患は,胃全摘術後で胃亜全摘術後よりも高頻度にみられ,また,胃切除後胆石の発生率はリンパ節郭清が高度なほど高く,Quality of Lifeは手術侵襲の程度に影響をうけた.一方,術前後の体重・食事摂取量の変化,食物嗜好の変化や術後牛乳不耐症の出現率は,術後経過年数,胃癌進行度および術式間で差がなかった.とくに,進行度別,すなわち早期癌と進行癌の比較では両者の術後愁訴・罹患疾患の頻度にもまったく差がなかった.これは,進行度に係わらず両者に同様の術式を採用してきたことに起因すると考えられる.したがって,早期胃癌においては,根治性を損なわない条件下で手術を縮小,合理化し,侵襲をより軽減できるならば,術後のQuality of Lifeをさらに向上させる余地があるものと思われる.

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