日本臨床外科医学会雑誌
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石灰乳胆汁を合併した遺伝性球状赤血球症の1例
横井 隆志佐藤 芳樹久保 章鈴木 良人松井 考輔
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1990 年 51 巻 3 号 p. 616-620

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抄録

40歳女性,発熱,貧血,黄疸を主訴として受診した.精査の結果胆石症を合併した遺伝性球状赤血球症と診断し,脾臓及び胆嚢摘出術を施行した.脾は大きさ17×10×7cm,重さ630gあり,胆嚢内に0.5cmから1.1cmのビ系石と直径1cm長さ4.5cmの粘性ゴム状の石灰乳胆汁を認めた.術後経過は良好だった.遺伝性球状赤血球症は貧血,黄疸,脾腫を3主徴とし,高率に胆石を合併することが知られている.一方,石灰乳胆汁は胆嚢管の閉塞と胆嚢の慢性炎症が関与すると言われ,発生頻度は胆石手術例の1~3%と比較的稀な疾患である.
本邦における石灰乳胆汁を合併した遺伝性球状赤血球症は本症例を含めて4例の報告例がある.
両者の合併例を報告するとともに,胆石および石灰乳胆汁の形成の成因について考察を加えた.

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