日本臨床外科医学会雑誌
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漏斗胸手術術式の変遷
末田 泰二郎松浦 雄一郎石原 浩浜中 喜晴金広 啓一中島 康林 載鳳前田 佳之
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1990 年 51 巻 4 号 p. 691-694

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抄録

漏斗胸に対する矯正術式として1977年以前はメタルブレードによる胸骨挙上法や単純胸骨翻転術を施行してきたが,1977年以降は腹直筋有茎性胸骨翻転術を標準術式として採用し1986年7月までに125例に施行してきた.この間翻転胸骨片のより生理的な形状を得るために余剰肋軟骨の切除と同時に翻転胸骨片に様々な矯正を加えてきた.しかし1986年に施行した術後2~9年の遠隔期調査にて翻転胸骨板の突出や胸骨横断部の陥凹を41%の症例に経験した.
そこで1986年8月以降は胸骨を翻転しない腹直筋有茎の胸骨非翻転変法を7例に施行した.本術式は胸骨挙上法と腹直筋有茎性胸骨翻転術との折衷術式で胸骨片は軽度に陥凹するもののより生理的形状を保てる術式と考えられた.

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