1990 年 51 巻 5 号 p. 1006-1009
盲腸癌を先進部とし,総腸間膜症を伴った成人腸重積症の1例を経験したので報告する.
症例は72歳女性で,主訴は右側腹部痛.同部に腹瘤を触知し,注腸造影や超音波検査により腸重積症と診断し開腹した.横行結腸中央部に先進部がある結腸結腸型の腸重積症で,整復を行つたところ盲腸から上行結腸下半分までが後腹膜に固定されておらず,総腸間膜症(mesenterium ileocecale commune)の合併と判断された.盲腸に腫瘤様硬結を触知したため,悪性腫瘍の可能性を考慮して右半結腸切除術を施行した.腫瘍は長径3.5cmのBorrmann 2型,中分化型腺癌であった.