日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
シネによる血管外科の手ほどき
塩野谷 恵彦
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 51 巻 5 号 p. 853-860

詳細
抄録

血行再建術が発達する以前では,血管の処理はほとんど止血に限られ,血管はいわば触れてはならない聖域であった.
血行再建術の普及に伴い,悪性腫瘍に対する手術の根治性を高めるために,血管への浸潤病変を積極的に切除するようになり,血管外科的手技は一般外科医にとっても必須なものになった.血行再建術を成功させるには,安全な血行遮断と確実な血管縫合が前提となる.
血行遮断による脳・肝の虚血性障害を防止するには,内シャント管使用により血流を維持するのが簡便である.血管縫合の原則は外反法による縫合であるが,大動脈領域では後壁内反法,前壁外反法,あるいは全周内反法のinlay吻合が確実である.血管病変の部位・範囲に応じて端々吻合またはパッチグラフト移植を用い,効果的な血行再建を図らねばならない.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
次の記事
feedback
Top