日本臨床外科医学会雑誌
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術前細胞診における乳癌の形態学的予後因子の検討
画像解析による核異型度の評価
宮内 充花輪 孝雄堀中 悦夫石毛 英男土屋 俊一塚本 剛奥井 勝二増田 豁川上 義弘
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1990 年 51 巻 5 号 p. 861-868

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抄録

乳癌の術前穿刺吸引細胞診材料を用いて細胞形態学的解析を行い,悪性度や予後との関連を検討した.症例はStage II及びIIIの原発性通常型浸潤性乳管癌のうち,5年以上健存例(健存群36例)5年以内の遠隔臓器再発例(再発群29例)を対象とし,画像解析装置を用いて乳癌細胞の核形態を解析した.核面積は予後に関連がなく核面積のばらつきが予後と良い相関を示した.核面積変異係数Coefficiency variant of nuclear area(以下NA. CVとす)は,健存群25.5±4.6%,再発群39.8±7.9%で両群間に有意差を認め,Stage別,組織型別,リンパ節転移個数別に検討しても再発群で有意にNA. CVが高値であった.腫瘤径,組織型,リンパ節転移などの既知の予後因子とNA. CVの間で多変量解析を行うと,NA. CVは独立した良好な予後因子であった.細胞診材料を用いた形量解析を行うと,NA. CVは独立した良好な予後因子であった.細胞診材料を用いた形態学的解析により,乳癌の悪性度や予後を術前に推定し得る可能性が示唆された.

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