日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
散弾銃による銃創例の検討
鈴木 一郎正津 晃井上 宏司中島 功猪口 貞樹上田 守三大谷 泰雄三冨 利夫相川 浩幸重田 定義
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 51 巻 5 号 p. 917-924

詳細
抄録

東海大学病院開設以来14年間に散弾銃銃創8例を経験した.8例とも男性で,事故による被弾であり,全例に入院を要した.2例は血気胸のため胸腔ドレーンを挿入,1例は視神経に隣接した散弾による視力障害のために開頭術,1例は膝関節貫通損傷にて大腿骨・経骨の部分切除を行った.死亡例はない.試験開胸や試験開腹術を要した症例はない.
1例は創感染を生じたが治療により改善し,他の7例には早期・晩期のいずれにおいても感染はなかった.
体内に残留した散弾の完全除去は非常に困難であり,しかも不必要である.ただし,鉛は関節滑液に溶解しやすく,周囲組織に沈着しやすいので,関節内の散弾や関節周囲の偽嚢胞は除去しなければならない.
体内遺残散弾による急性鉛中毒は非常に稀であり,受傷後最長13年8ヵ月を経過しているが,未だ本症を疑わせる症例はない.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top