日本臨床外科医学会雑誌
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胸部食道癌術後のエネルギー代謝異常とその対策
川口 雄才平松 義文山中 英治小島 善詞真田 俊明日置 紘士郎山本 政勝
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1991 年 52 巻 1 号 p. 6-11

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抄録

胸部食道癌に対する手術は手術侵襲が大きく,術後は多彩な代謝異常がみられる.エネルギー代謝については近年のカロリーメトリー機器の開発によりリアルタイムの測定が可能となってきた.今回,われわれは胸部食道癌手術症例のエネルギー代謝の変動を測定し,それに基づいた合理的な栄養管理について検討を加えた.その結果,胸部食道癌切除再建症例19例は胃癌胃全摘術症例17例に比し,安静時エネルギー消費量およびserum osmolality gapの有意の上昇を認め,さらに胸部食道癌切除再建症例50例では,内分泌系としてカテコラミン,グルカゴン,コルチゾールの上昇が認められた.また,胸部食道癌切除再建症例19例において,安静時エネルギー消費量は術直後より基礎エネルギー消費量の約130から180%と増加し,胸部食道癌術後での至適投与カロリーは35~45Kcal/kg/day投与でエネルギー平衡は正に維持されることが判明した.

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