日本臨床外科医学会雑誌
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インスリノーマ2症例の手術治療の検討
西田 豊来見 良誠村田 聡生内 一夫八木 俊成遠藤 善裕柴田 純祐小玉 正智
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1991 年 52 巻 12 号 p. 2995-2999

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抄録

当教室で経験したインスリノーマ2症例を報告した.症例1, 50歳女性.低血糖発作の精査目的で入院.絶食試験陽性でIRI/血糖比が0.37であった. PTPCで膵頭部にIRIの上昇を認めインスリノーマの診断のもとに腫瘍核出術を行った.核出前後での門脈血サンプリングでIRIの低下を認めた.症例2, 54歳女性.低血糖発作の精査目的で入院.絶食試験陽性でIRI/血糖比は1.94であった. CT,血管造影で腫瘍の局在を同定し,インスリノーマの診断のもとに膵楔状切除を行った.切除後術中超音波検査を行ったが膵内に残存腫瘍を認めなかった.インスリノーマは腫瘍が小さく多発例や異所性例も存在することから,術前術中の局在部位診断は慎重でなければならない.各種画像診断や門脈血サンプリング法は局在診断のみならず,適切な術式の選択や腫瘍完全切除の決定を行うためにも重要な要因である.

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