日本臨床外科医学会雑誌
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輸血による術後紅皮症の1例
森 俊治安藤 幸史古田 凱亮磯部 潔宮田 潤一水野 照久小舘 満太郎吉松 隆山崎 将典笠原 正男
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1991 年 52 巻 2 号 p. 335-339

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抄録
転移性肝癌に対する肝切除後に発症した術後紅皮症の1例を報告する.患者は40歳の男性でS状結腸癌の肝転移に対して肝右葉部分切除をおこなった.術中に新鮮血を400 ml輸血した.術後経過は良好であったが,術後13日目に突然高熱をきたし,翌日には紅斑が出現した.その後,肝障害や下痢,下血,汎血球減少症をきたした.病悩末期には敗血症となり,術後31日目に死亡した.病理組織学的所見: (1)皮膚は基底細胞の液状変性がみられたが,好酸性壊死やリンパ球の表皮内浸潤はなかった. (2)肝臓では門脈域に単核球の浸潤と肝内胆管上皮の変性を認めた. (3)消化管は粘膜の壊死と偽膜性腸炎様の所見がみられ,著しいカンジダ症を呈していた.皮膚の組織学的所見に不十分な点はあるものの,自験例の紅皮症の原因として,手術時の新鮮血輸血による移植片対宿主反応の可能性が強いと判断した.肝切除時に新鮮血を用いる場合には,新鮮血に対する照射が必要と考えられた.
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