日本臨床外科医学会雑誌
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遺伝性球状赤血球症の6手術例
高木 啓介村林 紘二冨川 一郎林 仁庸冨田 隆長沼 達史桜井 洋至矢花 正中野 洋
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1991 年 52 巻 2 号 p. 434-438

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抄録

1987~1989年の3年間に経験した遺伝性球状赤血球症hereditary spherocytosisの6手術例を報告し検討を加えた. 5歳から59歳のHS 6症例に対し脾摘を施行したが,術後何らの感染症も見られなかった. 1例を除き術後貧血は急速に改善し,赤血球数は術後20日目までに正常化した. 1例を除き術後黄疸は急速に改善し,血清ビリルビン値は術後1~15日で正常化した.血小板数は術後著明に増加し,最高115万に達する症例も見られたが,抗凝固療法を要した例はなかった. HSに対しては,従来云われてきたより早期の脾摘が安全に施行できると考えられ,特に重症貧血例や溶血発作を繰り返す例では,年齢に関係なく脾摘を実施すべきであると思われる.

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