日本臨床外科医学会雑誌
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切除不能膵頭部癌に対するバイパス手術の検討
岩崎 剛一遊佐 透川口 信哉木村 良直浅野 晴彦網倉 克己小針 雅男松野 正紀
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1991 年 52 巻 3 号 p. 530-535

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抄録

教室における過去18年間の切除不能膵頭部癌に対するbypass手術(80例)を,胆道bypass単独群(42例),消化管bypass単独群(12例), double bypass群(26例)の3群に分け,術後経過,合併症につき検討した.胎道bypass単独群では,術後十二指腸狭窄および消化管出血をそれぞれ6例(14.3%)に認めた.消化管bypass単独群で,術後黄疸を来したのは, 1例のみにとどまった. double bypass群のうち, single tract群では5例(33%)で胆道感染を認めたのに対し, double tract群では, 1例(16%)にのみ吻合部狭窄を認めた.経口摂取状況,入院期間は, 3群間に有意差がないため,消化管bypassを付加しても大きな手術侵襲とはならないと考えられ, bypass手術としては, double bypassがより望ましい術式と考えられた.また再建術式としては,胆道感染,消化管出血予防の点で, double tractによる再建が優れていると考えられた.

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