日本臨床外科医学会雑誌
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壁外性発育を示した胃原発性悪性絨毛上皮腫の1例
岡田 秀司内田 雄三友成 一英村上 信一久保 宣博葉玉 哲生横山 繁夫
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1991 年 52 巻 3 号 p. 578-582

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抄録

57歳女性の幽門前庭部に壁外性に発育する18×12×8cm大の腫瘍がある1例にたいし,胃全摘,膵頭十二指腸切除,結腸合併切除,リンパ節郭清ならびにChild法に準じた再建術を行った.本症例はhuman chorionic gonadotropin (HCG)値が血中HCG: 1,000IU/L,尿中HCG 4,900IU/Lと高値を示し,組織学的に悪性絨毛上皮腫と腺癌の像が混在していた.子宮・卵巣摘出術を行ない精査したが悪性絨毛上皮腫は認められず,胃原発性の悪性絨毛上皮腫と診断した.術後VAC療法(オンコビン,コスメゲン,エンドキサン)を計3クール施行したが,術後約6カ月で肝転移により死亡した.
胃原発性悪性絨毛上皮腫の本邦女性報告例は本症例を含めて14例であり,また壁外性に発育した胃癌の報告例は41例で,本症例のごとく壁外性に発育した胃癌で悪性絨毛上皮腫の像を呈しHCGを産生する症例は極めて稀である.

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