1991 年 52 巻 4 号 p. 707-712
消化器癌患者102名(胃癌70名,大腸癌32名)対象とし,そのnatural killer (NK)細胞について検討した.
対象症例のNK細胞活性(NK)活性を測定し,さらにモノクローナル抗体(Leu7, Leu11)を用いてtwo color flow cytometryによりそのサブセットを分析し以下の結論を得た.
NK活性は癌の進行により低下を示した.
Leu7-×Leu11+細胞は癌の進行により低下を示したが, Leu7+×Leu11-細胞, Leu7+× Leu11-細胞は癌の進行した状態でも一定の傾向を示さなかった.
NK活性とLeu7-×Leu11+細胞は正の相関関係を示した.
以上よりNK活性は消化器癌患者の状態をよく反映し,またLeu7-×Leu11+はNK細胞を標識する有用なモノクローナル抗体であると考えられた.