日本臨床外科医学会雑誌
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予後因子としての乳癌リンパ節転移について
野口 昌邦小矢崎 直博太田 長義谷屋 隆雄宮崎 逸夫水上 勇治
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1991 年 52 巻 4 号 p. 713-717

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抄録

1973年より1985年までに初回手術を行った乳癌症例223例を対象として,腋窩リンパ節の触診所見,腋窩リンパ節転移の有無,転移個数,転移部位,更に胸骨傍リンパ節転移の有無のいずれが予後と密接に関係しているかを単変量および多変量解析を用いて検討した.その結果,腋窩リンパ節転移の有無,特に下位の腋窩リンパ節転移の有無が予後と密接に関係していた.しかし,腋窩リンパ節の転移個数と転移部位のいずれが重要かは判明しなかった.一方,胸骨傍リンパ節転移の有無も密接に予後と関係していた.従って,下位の腋窩リンパ節郭清と胸骨傍リンパ節の生検が乳癌のリンパ節転移の有無,すなわち予後を知るのに有用であると考えられた.

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