日本臨床外科医学会雑誌
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Stage IV肝細胞癌症例の治療成績
桐山 正人泉 良平伊与部 尊和桝谷 博孝浦出 雅昭谷 卓堀地 肇北林 一男橋本 哲夫清水 康一八木 雅夫宮崎 逸夫
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1991 年 52 巻 4 号 p. 755-759

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抄録

肝癌取扱い規約1)によるStage IV肝細胞癌症例39例を対象として,腫瘍切除例(17例,非治癒切除)と非切除例(22例)とに大別し,治療法と予後との関係について比較検討した.切除例では遺残腫瘍に対して術中にエタノール注入(ethanol injection, EI)を,術後に動脈塞栓療法(transcatheter arterial embolization, TAE),動注化学療法(hepatic arterial infusion, HAI)を施行し,非切除例ではTAE, HAI,局所温熱療法(hyperthermia, HT), EI,放射線照射等の集学的治療がなされた.
結果: 1) Vp0およびVp1症例では切除例が非切除例に比べて予後は良好であった(p<0.05). 2) Vp2およびVp3症例では切除例,非切除例との間に予後に差は認めなかった. 3) 切除例では,区域切除例よりも主病巣切除のみの部分切除例の方が予後は良好であった.
以上より, Stage IV肝細胞癌症例であっても, Vp0, Vp1症例では過大侵襲を避けた主腫瘍切除後に, EI, TAE, HAIを併施することによって予後の改善が得られるものと考えられた.

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