日本臨床外科医学会雑誌
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大腸癌肝転移症例に対する肝切除の意義
高木 啓介村林 紘二冨川 一郎林 仁庸冨田 隆長沼 達史高橋 宏明桜井 洋至矢花 正中野 洋
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1991 年 52 巻 4 号 p. 748-754

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抄録

1982年3月から1989年9月までに当科で経験した大腸癌手術症例276例のうち肝転移症例37例について特に肝切除を施行した14例を中心に治療成績や臨床病理学的な検討を行った. 1) 異時性肝転移切除例では全例生存中であり予後良好であった. 2) 同時性肝転移切除例では異時性例に比べその予後は不良であった. 3) 初回肝転移巣が1葉に限局する症例には残肝機能の許す限り肝葉切除あるいは腫瘍から肝切離面までの距離を十分とる切除術式を選択すべきである. 4) 大腸癌肝転移の早期発見のためにはCEA, US, CTなどによる定期的なフォローアップが重要である. 5) 原発巣病理所見では中分化型腺癌,リンパ節転移陽性例,脈管侵襲陽性例で肝転移が有意に高率であった.

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