日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
虫垂切除術後クレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)値におよぼす麻酔法の影響
特に悪性高熱症亜型との関連において
岩瀬 弘敬柄松 章司呉山 泰進伊藤 由加志葛島 達也岩田 広治小林 俊三桑原 義之片岡 誠
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 52 巻 4 号 p. 765-769

詳細
抄録

われわれは全身麻酔下の虫垂切除術後に,軽度発熱,筋強直,ミオグロビン尿が認められた3例の悪性高熱症亜型を経験し,これらの症例には筋逸脱酵素,特に血清creatine phosphokinase (CPK)の異常高値が認められたことを確認した.そこで,虫垂炎術後のCPK値に影響を与える因子を解析し,本症の発生条件について検討を加えた.
117例の虫垂切除術例において,術後の血清CPKを高値にする因子を多変量解析を用いて検討した.その因子を相関性が高い順に並べると, succinylcholine chloride (SCC)の投与量,年齢,性,術後の発熱順で, 1mg/kg以上のSCC大量投与群と15歳から40歳の若年者群に術後CPK高値例が多かった.麻酔時間, Halothaneの量,術前のCPK値との相関性は低かった.虫垂切除術に際し, SCCを用いる全身麻酔は本症発生の要因となり得るため,可能な限り腰椎麻酔で行うことが望ましい.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top