1991 年 52 巻 4 号 p. 785-788
症例は43歳男性,職業は空調設備業,主訴は胸痛および呼吸困難であった.近医にて胸部X線写真撮影を行い,左自然気胸にて入院した. 10日間にわたる胸腔ドレナージによってもair leakの改善がなく難治性であるため当院に転院し,開胸手術を施行した.術中の所見では左S6周囲の胸膜は肥厚し,この部位からair leakが認められた.胸膜下は空洞が存在し,空洞内には茶褐色の脆い球形物質があり,術中鏡検にて真菌塊と判明した.手術は左下葉S6区域切除を施行した.術後経過は良好であり, 3年経過した現在も肺真菌症,自然気胸の再発は認められていない.