日本臨床外科医学会雑誌
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異所性乳癌の1例
辻 尚人林 克英田中 恒雄後藤 正宣大林 千穂
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キーワード: 異所性乳房, 乳癌
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1991 年 52 巻 4 号 p. 781-784

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抄録

稀と考えられる異所性乳癌の1例を経験し報告した.
症例は60歳の女性で左腋窩腫瘤を主訴に来院した.リンパ節および,左乳房に腫瘤は触知しなかった.左腋窩に境界明瞭で表面の軽度の凹凸があり皮膚への完全固定を認める約2×3cmの腫瘤を触知した.乳頭乳輪を思わせる皮膚の着色を認めなかった.生検により2.1×2.0×2.3cmの腫瘤を得たが,左乳房との間には連続性は認めなかった.腫瘤内に癌細胞を認めたため,創部周囲皮膚の広範囲切除及び左腋窩リンパ節郭清を行った.病理組織所見では異所性乳房と考えられる乳腺組織と乳管乳頭腫症を伴った粘液癌であり,リンパ節転移は認めなかった.術後5年であるが,再発はなく健在中である.
自験例を含む本邦報告例42例を集計し検討を加えた.

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