日本臨床外科医学会雑誌
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慢性膵炎により十二指腸狭窄をきたした1例
坂本 一博塩見 精朗佐藤 雅彦小林 滋前川 武男榊原 宣
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キーワード: 十二指腸狭窄, 慢性膵炎
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1991 年 52 巻 4 号 p. 800-804

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抄録

慢性膵炎による十二指腸狭窄の本邦報告例は20例にすぎない.今回,慢性膵炎により十二指腸狭窄をきたした1例を報告するとともに,本邦報告例を集計し若干の考察を加えた.
症例は, 45歳の男性で, 1日3~4合(約20年間)の飲酒歴がある.主訴は,嘔気・嘔吐,右季肋部痛であった.上部消化管造影検査で十二指腸下行脚に全周性の狭窄を認めた.上部消化管内視鏡検査で,十二指腸下行脚に約2/3周性の隆起性病変を認め,粘膜は浮腫状で発赤を示したが,十二指腸粘膜生検では悪性所見はなかった. ERCP,腹部CT,血管造影検査所見から,慢性膵炎による十二指腸狭窄と診断した.膵管空腸側々吻合・胃空腸吻合術を施行した.術後約2年経過しているが,経過良好で,特に悪性の所見は認められていない.

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