日本臨床外科医学会雑誌
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潰瘍性大腸炎穿孔の1例
水谷 郷一安田 聖栄桜井 与志彦堀江 修野登 隆幕内 博康田島 知郎三富 利夫
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1991 年 52 巻 8 号 p. 1852-1856

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抄録
われわれは潰瘍性大腸炎穿孔の比較的まれな1例を経験した.
症例は45歳,男性.主訴は下腹部痛.昭和62年5月頃より粘血便にて発症.潰瘍性大腸炎と診断されサラゾピリン,プレドニン, ACTHの投与により緩解状態となり退院となるが,その後再燃し平成2年3月1日再入院となる.入院後下腹部痛増強しX線上遊離ガス像を認め潰瘍性大腸炎穿孔の診断にて緊急手術となる. S状結腸に径2mmの穿孔を認め,結腸全摘,回腸瘻,直腸粘液瘻造設術を施行した.切除標本では全大腸炎型の潰瘍性大腸炎でpseudopolyposisがほぼ結腸全域に認められた.術後経過は良好で第23病日に退院となった.
文献的に検索しえた潰瘍性大腸炎穿孔の本邦報告例は自験例を加えて16例であり,これらの検討を加えて報告する.
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