抄録
胃癌術後のMRSAによる感染症例をもとにその発症要因を臨床的に検討した.最近3年間の教室胃癌手術例228例を対象として,術後感染症発症率, MRSA感染発症率,感染部位,分離菌,術後に投与された抗菌剤,胃癌取り扱い規約に準じた臨床病期,施行術式,郭清度,根治性,手術時間,出血量,術前血液・生化学的所見,基礎疾患を検討した.胃癌の術後感染症は11.4% (26/228)に発症しており,うちMRSA感染症は13例5.7% (13/228)に発症していた. MRSA術後感染症は感染性腸炎が2.6% (6/228)と最も多く,呼吸器感染症とドレーン感染が0.9% (2/228)であった.術後にCEZを予防投与された症例にMRSA感染症が発症していなかったが,その他に有意な因子はみられず,院内感染が疑われた.胃癌術後のMRSA感染対策として,院内感染対策と抗菌剤を適切に使用することが有効であると思われた.