抄録
胃の悪性腫瘍に対する胃全摘,膵体尾部・脾合併切除術後の耐糖能について,経静脈内ブドウ糖負荷試験およびグリコヘモグロビン値を指標として検討を加えた.対象は本術式を施行された50例で,これらの症例に対して0.3g/kgのブドウ糖を経静脈的に負荷して経時的に採血を行い,血糖,グリコヘモグロビン,血漿中のインシュリンおよびグルカゴンを測定した.この結果,本術式の施行後には膵合併切除に伴うインシュリン分泌低下を主因とする耐糖能の低下がみられ,胃全摘という条件下では全体の50%以上におよぶ膵尾側切除により,糖尿病が発生しうるものと考えられた.また,残存膵の機能障害は不可逆性で,耐糖能は術後経過に随伴して低下することが示唆された.このような糖代謝異常に対し,長期の厳重な管理が必要であり,臨床上,経静脈内ブドウ糖負荷試験およびグリコヘモグロビン値は有効な指標になるものと考えられた.