抄録
胆嚢癌の組織型で,腺扁平上皮癌の頻度は低く,腺癌とは異なる幾つかの臨床病理学的特徴を有している.今回,われわれは, 65歳の男性で,胆嚢癌,横行結腸直接浸潤,胆石症の診断にて,膵頭十二指腸切除,肝亜区域切除,右半結腸切除術を施行し,肉眼的に治癒切除なしえた胆嚢腺扁平上皮癌の1例を経験した.切除標本の病理学的検査では,癌巣中に占める扁平上皮癌の比率は100%に近く,腺扁平上皮癌のなかでも極めて進行した状態と思われた.また,肉眼形態は結節浸潤型を呈し,隣接臓器に直接浸潤し,消化管の閉塞を形成するという,腺扁平上皮癌に特有の臨床病理学的特徴を典型的に示した症例であった.また,本症例は術後5カ月目の現在,再発所見は認めておらず,高度進行胆嚢癌に対しても,進展様式に応じた拡大手術を施行することによって,遠隔成績の向上が期待できた.