日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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膝窩動脈外膜嚢胞の1治験例
本邦報告例の検討
野田 寛藤岡 顕太郎善甫 宣哉若松 隆史大原 正己中村 丘秋本 文一河内 康博相川 裕之原田 幹彦竹中 博昭江里 健輔
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1992 年 53 巻 1 号 p. 203-208

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抄録
膝窩動脈外膜嚢胞は本邦において現在までに39例の報告があるのみで,下肢の血行障害をきたす疾患として稀である.われわれは本症を1例経験したので本邦報告例に基づいて検討を加えて報告する.症例は56歳男性で間歇性跛行を主訴に来院した.動脈造影で左膝窩動脈は約3cmにわたり完全に閉塞していたが,動脈硬化の所見はなかった.術中所見では左膝窩動脈は約3cmにわたりほぼ半周が嚢胞状に拡張しており,同部以下の動脈の拍動は微弱であった.嚢胞はゼラチン様の物質を含有し,血管内腔を完全に閉塞していた.病理組織学的所見では中膜内に嚢胞が存在した.嚢胞を含め動脈を切除し大伏在静脈で再建した。術後経過は良好でdigital subtraction angiographyにより移植血管の開存を証明した.
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