抄録
SALMONELLA菌感染による腹部大動脈瘤に対し緊急手術を行い,瘤を切除し同所的(anatomical)な人工血管置換にて治癒せしめた症例を経験した.症例はACバイパスと骨髄異形成症候群(MDS)の既往を持つ69歳の男性で,激しい腹痛を主訴として来院.超音波検査にて腹部大動脈瘤を認めた.症状の激化と動脈瘤径の増大を認めたため切迫破裂として緊急手術を行った.後腹膜を開くと径5cmの嚢状の動脈瘤が存在し,周囲に膿瘍形成を認めた.感染性腹部大動脈瘤と診断し,瘤を切除後,充分洗浄し抗生物質を散布,同所的に人工血管にて置換した.膿汁の細菌学的検査にてSALMONELLA菌が同定された.術後は順調に経過し,約1年経過後の腹部大動脈造影では吻合部の仮性動脈瘤形成などの異常を認めなかった.