日本臨床外科医学会雑誌
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腫瘍径3cm以下の小肝細胞癌の発育進展と再発に関する臨床病理学的検討
岡田 和也中島 公洋岩男 裕二郎荒巻 政憲鈴木 貫史多田 出吉田 隆典御手洗 義信金 良一小林 迪夫
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1992 年 53 巻 11 号 p. 2615-2620

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抄録
腫瘍径3cm以下の小肝細胞癌切除25例29結節について臨床病理学的に検討した.腫瘍径2cm以下のA群は12例, 2~3cmのB群は13例で,切除耐術21例のA, B各群の5年生存率はそれぞれ87%, 62%であった.腫瘍径が2~3cmへと増大するにしたがい,単結節周囲増殖型の占める割合が増え,被膜浸潤,血管侵襲vpや肝内転移imが増加していた.したがって根治性においては腫瘍径2cm以下では部分切除, 2~3cmでは亜区域切除以上が必要と考えられた.一方,多結節型肝癌4例の発育様式として,その多くは多中心性発生と考えられた.また亜区域以上の切除を施行したにもかかわらず,予後不良な多発残肝再発症例が4例あり,それらの肉眼型は単結節周囲増殖型や多結節癒合型で,いずれもvpやimが旺盛なaneuploid症例であった.したがってこの様な症例に対しては,適切な術後補助療法が必要であると考えられた.
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