抄録
四肢の静脈血栓による血行障害から壊疽にいたるVenous gangreneは稀な疾患である.その前段階であるPhlegmasia cerulea dolensを含めても,報告は少なく,またそのほとんどが下肢に関するものである.些細な外傷(手背の打撲)後,手・前腕がVenous gangreneに陥り,ショック状態を呈した56歳の極めて珍しい症例を経験した.受傷36時間後には手背の皮静脈に血栓が形成されチアノーゼを呈し,表皮は剥離し,あたかも熱傷のように血漿成分が漏出した.ショックは経時的に進行し,乏尿になった.全身状態がわるいので血管造影は侵襲の少ないIVDSAを用いた.手の血行が無いことを確認後,上腕で切断した.手術後は急性腎不全,呼吸不全, DIC等の多臓器不全に陥ったが幸いにも救命できた.