抄録
水疱性類天疱瘡は,内臓悪性腫瘍にみられるDermadromeとして知られている.われわれは類天疱瘡を併発した直腸癌の1症例を経験したので報告する.
症例は67歳の男性.血液を混じた下痢及び全身の多発性水疱が出現し,水疱に関しては水疱内の好酸球の浸潤,及び蛍光抗体直接法,間接法にて基底膜にIgG, C3の沈着が認められ,類天疱瘡と診断された.一方消化管精査の結果直腸癌と診断され,直腸切断術と共に,肝転移巣(S3)に対して肝左葉部分切除をした.病理診断は低分化型腺癌でP0H1n3a1, stage Vであった.術後化学療法(CDDP, ADM))を2回施行したところ皮疹が消退した.
腫瘍摘出及び化学療法にて皮疹の消退をみ,直腸癌と類天疱瘡との因果関係の存在が示唆された.したがって類天疱瘡症例に遭遇した場合には十分な消化器悪性腫瘍の検索をすることが必要である.