日本臨床外科医学会雑誌
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脾臟転移を伴った直腸癌の1例
報告例の集計と考察
高島 茂樹後藤田 治公斎藤 人志富田 富士夫小坂 健夫喜多 一郎小島 靖彦木南 義男
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1992 年 53 巻 4 号 p. 915-920

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抄録
悪性腫瘍の脾臓転移は剖検例で指摘されているものの臨床例では極めて少ない.殊に直腸癌では稀である.最近,孤立性脾転移を伴った直腸癌(Rs)を経験したので報告する.患者は62歳,男性で,術前血清CEA値は15.1ng/mlと高値を示し,組織学的にはBorr. 2型(4/5周性),中分化腺癌, s, n(+), INFβ, ly2, v1であった.肝には右葉(2個)と左葉(1個)に転移がみられ,脾には下極に5.0×4.0cmの孤立性転移が認められた.手術は前方切除術(R3)に加え脾摘出術を施行した.また肝転移に対しては左葉の転移巣核出とともに右胃大網動脈より動注用リザーバーを留置した.患者は術後4カ月経過の現在,健在である.大腸癌における脾転移は文献上,自験例を含め13例が報告されているが,術前血清CEA値はいずれも異常高値を示しており, CEA値が高値を示し肝や肺に転移の認められない場合には脾転移を念頭においた対応が必要である.また,その予後については今後更に症例を重ね検討すべきであろう.
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