日本臨床外科医学会雑誌
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術後MRSA感染症の臨床的検討
特に発症要因とその対策について
森越 栄太佐藤 薫隆向井 佐志彦斎藤 節為我井 芳郎
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1992 年 53 巻 7 号 p. 1507-1515

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抄録
最近9カ月間に消化器手術後に発生したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症45例について臨床的および細菌学的に検討した.特に感染経路,時期を同定するため院内環境,職員の細菌検査と手術患者の術前後の咽頭培養検査を行った. MRSA腸炎の発症は術後早期が多く,治療は早期診断が重要でバンコマイシンとアヘンチンキの経口投与が有効であった.院内環境,職員の咽頭,手指からもMRSAは検出され,コアグラーゼ型は患者同様ほとんどがII型であった.しかし, MRSAのMIC値は,職員と患者とでは異なっていた. 51例の手術患者中15例でMRSA腸炎が発症したが,術前,術中にMRSAの検出された例はなかった.術後の栄養管の留置は腸炎の発症率を高めなかった.当院のMRSA感染症はII型を流行株とした院内感染で,感染は主に術後,医療従事者の手指を介して起こるものと推測された. MRSA腸炎の予防には徹底した院内感染対策が重要と思われた.
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