抄録
膀胱浸潤を伴う進行直腸癌患者52歳男に低位前方切除と代用膀胱を造設し,社会復帰して2年7カ月経過したので報告する.患者は肺結核で右上葉肺切除と胸部形成の既存歴があった. 1998年経尿道的に前立腺摘出術を受けている.当時より膀胱後壁にあった小潰瘍が治癒しないため, 1年後に大腸内視鏡検査を行い,肛門より口側10cmの直腸前壁に小指頭大の腺癌(Borr II)を認めた.骨盤CTスキャンでは膀胱後壁,回盲部,右尿管への癌浸潤が考えられた.この様な進行癌に対しては骨盤内臓器全摘出術が考えられたが,患者の強い社会復帰の希望があり,直腸前方切除膀胱後壁と回盲部切除を行い,再建は直腸S字結腸吻合回腸上行結腸吻合を行った後, 30cmの回腸でループを作り,両側尿管移植.この回腸ループと膀胱前壁を縫合して代用膀胱とした.膀胱容積600ml,内圧最高50mmHg,下腹部膨満感があれば腹圧で排出を行い.排尿回数は1日4~5回.夜間の尿失禁も認めていない.