日本臨床外科医学会雑誌
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分娩を契機に発症した先天性胆道拡張症の2例
成田 洋寺西 太山守 暢子保里 恵一羽藤 誠記伊藤 昭敏樋口 知之由良 二郎
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1993 年 54 巻 1 号 p. 175-180

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抄録

分娩を契機に発症した先天性胆道拡張症の2例を経験したので報告する.併せて妊娠・分娩を機に症状の発現をみた先天性胆道拡張症の本邦報告例を集計し,その臨床像につき統計的検討を加えた.症例1は30歳の初産婦.出産12日目より膵炎様症状が出現し,精査の結果,胆管合流型の合流異常を有する先天性胆道拡張症 (Ic(p)) と診断された.症例2は27歳の初産婦.出産9日目より腹痛が出現,精査にてIc (p), IIcmの先天性胆道拡張症と診断された.両症例共嚢腫切除,総肝管空腸Roux-Y吻合術を行った.
過去30年間 (1961~1990) の本邦報告例は77例で,うち妊娠中に発症をみたもの66例,分娩後7例,不明4例であった.そのほとんどが嚢胞状拡張例で,好発時期は妊娠6カ月より妊娠8カ月までの3カ月間であった.

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