日本臨床外科医学会雑誌
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胃癌副腎転移の1切除例
遠近 裕宣平田 恵三中尾 丞石井 俊世栄田 和行高原 耕
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1993 年 54 巻 12 号 p. 3147-3150

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抄録
78歳,男性.平成3年6月,胸やけを主訴として当院内科受診.精査にて噴門部直下.小彎側にBorrmann 2型胃癌を認め.平成3年8月6日.胃全摘術を施行した.病理組織学的には低分化腺癌,ssβ, INFβly0, v1, n2であった.退院後外来で経過観察していたが,平成4年2月のCTで左副腎に腫瘤を指摘され,同年6月のCTで腫瘤の増大を認め,胃癌の副腎転移を疑い,平成4年7月15日,左副腎摘出術を施行した.摘出標本は60×44×30mmで重量55g,割面は黄白色分葉状で,一部に正常の副腎組織が残存していた.病理組織学的に胃癌の副腎転移と診断された.術後経過は良好で,平成4年8月6日に退院した.現在当科外来で経過観察中であるが,初回手術後18ヵ月現在再発なく健在である.
胃癌術後の副腎転移巣の切除例は極めて稀であり,検索し得た範囲では自験例を含めて3例のみであった.
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