日本臨床外科医学会雑誌
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虫垂憩室穿孔により腹膜炎をきたした1手術例
宮本 英雄草間 次郎勝山 努
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1993 年 54 巻 5 号 p. 1285-1288

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抄録
虫垂憩室は,本邦では比較的稀な疾患である.今回,虫垂憩室穿孔により汎発性腹膜炎をきたした1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は53歳,男性.主訴は腹痛.約1週間腹痛を我慢した後来院し,穿孔性虫垂炎による腹膜炎と診断し緊急手術を行った.汎発性腹膜炎の所見であり,虫垂は非間膜側,中部で穿孔しており,穿孔部では粘膜が漿膜外に脱転していた.組織学的検査で虫垂粘膜に炎症所見はなく,虫垂仮性憩室の穿孔と診断された.臨床において虫垂憩室炎と急性虫垂炎の鑑別は必ずしも容易ではないが,虫垂憩室炎は急性虫垂炎に比較し,経過は長いが,穿孔率が高いとされる.急性虫垂炎の鑑別診断の一つに本疾患も考えて対処することが重要である.
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