日本臨床外科医学会雑誌
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膵頭部領域癌における治癒切除後再発症例の臨床病理学的検討
神垣 隆味木 徹夫田畑 知巳大橋 修小野山 裕彦山本 正博斎藤 洋一
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1993 年 54 巻 9 号 p. 2261-2266

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抄録

膵頭部領域癌の肉眼的治癒切除症例57例のうち再発様式が確認された23例を対象に肝転移再発の有無により病理学的進展因子,Stageおよび術後生存期間を比較検討した.膵頭部癌の肝転移再発例ではt3が66.7%, ly2, v2以上がともに100%を占め,腫瘍径の大きな例や高度脈管侵襲例が多かった.下部胆管癌や乳頭部癌では肝転移再発と病理学的進展因子の間に関連を認めなかった.再発症例において低分化腺癌の4例は全例,肝転移再発をきたした.膵頭部癌再発例には進行例が多かった (Stage III 44.4%, Stage IV 33.3%) が,肝転移再発とStageの間には関連を認めなかった.下部胆管癌では肝転移再発例の全例が,乳頭部癌では肝転移再発例の50.0%がStage III以上で,進行した例が多かった.膵頭部領域癌では肝転移再発例は肝転移再発を認めなかった例にくらべ術後生存期間が短く,肝転移は予後を左右する再発様式と考えられた.

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